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トランスジェンダー~性別違和 [性の多様性]

一般的に「普通」とされているセクシュアリティとしては、異性愛が標準となるほかに、まずもって「異性/同性」の指標となる「男女」の枠組みへの適合もまた求められている。
出生時に割り振られる「女」「男」いずれかの「性別」は、ただ単にそれだけの属性なのではなく、その人のその後の人生においても重要なコース分けになっていて、男女のいずれのコースを割り当てられるかによって、何をおこない、どのような自己実現を図るにしても、選択が奨励される選択肢や、逆に選択が困難な事柄が多々存在する状況とされている。
にもかかわらず、出生時に決められた自身の性別は、自分の意志にしたがって自分に合ったものへ変更することは、原則としてできないこととなっている。また、もとより「性別」のメニュー表には男女の2つしか記載されていない。
それでも大多数の人は、出生時に付与された「女」「男」いずれかの性別に適応して生きるようにしている。その状態ないしはその人のことを「シスジェンダー」と言う。現状では、出生時に付与された性別に異を唱えることが、さまざまな社会的な不利益をもたらしてしまうので、シスジェンダーとして生きる道を選ぶインセンティブはきわめて高いのである。
しかし、そのようにシスジェンダーが「普通」となっている中で、あえて出生時に付与された性別を変更して生活することを選ぶ人もおり、その状態およびその人のことが「トランスジェンダー」と呼ばれる。
最も広い意味でトランスジェンダーを考えた場合には、いわゆるコスプレのようなケースも含みうるが、標準的な範疇の場合、その動機は「性別違和」、すなわち当初に割り当てられた「女」または「男」といった性別に違和感が強く、それぞれの性別に求められる相応しさに順応して生きていくことが、いちじるしい困難のもとにあることである。
なお日本語圏では「トランスジェンダー」の語は相対的にあまり普及しておらず、医学用語であり疾病名であった「性同一性障害」を定義の厳密性をかなり緩めたうえで準用することが一般的になっている。しばしば聞かれるのは「心と身体の性別が一致しない性同一性障害」という解釈でのトランスジェンダーの捉え方であるが、これらは本来の語義からすると正確な用語法でない点には留意が必要である。


◎性的指向とトランスジェンダー
セクシュアルマイノリティの中でも同性愛の系統、「LGBT」で言えばLとG、およびBにあっては、一般的に「普通」とされているセクシュアリティから逸脱しているとみなされるのは、いわゆる「性的指向」に関する部分であり、すなわち恋愛や性的関心における他者にかかわる要素だったと言うことができる。
一方「LGBT」のT、トランスジェンダーは、自分自身がどのような為人でありたいかという課題において、「普通」とされているセクシュアリティと摩擦を起こすことに問題の重心がある。
こうした性的少数者どうしの立ち位置のちがいは知っておかれるべきだし、世間一般によくある、同性愛者とトランスジェンダーを混同した理解は誤りであることも、周知されるべき事柄だろう。
そして、そう考えれば、自分自身がどのようにありたいかという課題と、恋愛や性的関心の対象がどんな相手であるのかということは、相互に紐付けされない独立した事象であることもわかる。
したがって、各々のトランスジェンダーの「性的指向」がどうなっているかについても、「普通」とされる基準からすれば相当にフレキシブルな様相となっていることには注意したい。